2015年10月20日火曜日

インドに流れる未来への思想

昨日は10月18日、日曜日、僕が住むこの茨城県石岡市の八郷盆地では、「八豊祭」という東京から移住し、今では農業に従事する若者たちが、秋の収穫を祝うとともに、「都市を離れて、田舎に住むこと」の重要性を訴えて、例年のようにお祭りが行われた。この地域に昔から住む農家の人たちとも協力して、農作業や何でも作ることの楽しさを味わうとともに、舞台での音楽や各種各様な食べ物が披露された。
僕は、このお祭りの中で、二本の映画を見た。それは、現代のインドの思想家「ヴァンダナ・シヴァ(1952-)」と「サティッシュ・クマール(1936-)」両氏のスピーチを映像化したものである。この二人は、明らかにインド思想の伝統を受け継ぎ、仏陀の「すべては、つながっている」という言葉やマハトマ・ガンジー(1869-1948)の非暴力思想を受け継いでおり、とりわけヴァンダナ・シヴァは、自分の農場であるナヴダーニャ農場を展開しながら、地球未来への実践と縦横無尽な思想を展開している。彼女は、もともとは物理学者で、長く放射能の危険性を訴えてきたが、今では遺伝子組み換え食品の危険性や、それに対抗するための「種」の保存運動に邁進している。
この二人の思想は、ヨーロッパ社会からは決して生まれない思想である。決して「高み」に登るのではなく、「同じ地平」、同じ地球の大地に立とうとしている。彼らの言葉の中に学ぶべき言葉は多いが、一つだけあえて抽出すれば、それは「Earth Democracy(地球民主主義)」という言葉である。人間中心社会ではなく、地球上のすべての「生き物」が互いに暴力的に生きることを競うのではなく、「話し合い」をもって、あるいは互いに「思いやり」をもって地球社会を作らねばならないという主張である。さもなくば、地球崩壊は目前に迫っているというほどに、その訴えは真摯なものである。
僕は、この二つの映画を見て感じたことは、もうすでに地球未来に対する思想的展望は明らかになったということである。これ以上、付け加えることもなければ、目指すべき方向とそのイメージは誰でも理解できるところまで発展してきたと思う。しかし、何より心配なのは、この思想をどのように具体化していくかである。この点については、クマール氏は、日常生活の中での「食べる」こと、「眠る」こと、「歩く」ことを実践すれば、その未来に到達できるという。また、ヴァンダナ・シヴァは「都会を離れて、田舎に行くこと」だと主張する。しかし、多くのこの映画会の参加者が映画が終わった後「それでも、とても難しい」と感想を述べたように、地球危機を乗り越え、今後、人類が生き延びていけるかどうかは至難の業だと思う。しかし、やはり少しでも前に進むしかない。すべての人が、自覚
をもって少しでも前に進む努力をしなければならないと思う。

僕は、ヴァンダナ・シヴァが言うように、モノの地球化(Globalization)ではなく、地域化(Localization)を目指すとともに、心の地球化(Globalization)、つまり偏狭な「日本」にとらわれることなく、広く心を世界に開いて地球市民として生きることこそ大切と思う。「地域自治」と「地域自給」を展開しながら、地域間相互の協力(Inter-localization)を目指さなければならないと改めて確信したのである。

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